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諸外国における憲法改正状況

 2017/02/25 社会・政治 この記事は約 11 分で読めます。 46 Views
諸外国

日本国憲法の改正要件は憲法第96条によって、まず国会(衆議院と参議院の両方)でその発議に対して総議員の3分の2の賛成を必要とし、なおかつその賛成された発議に対して、国民投票によって過半数の賛成がなければなりません。

では、日本以外の国では、どのような手続きを踏めば憲法改正ができるのでしょうか。

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各国における憲法改正の要件について

まず日本の同盟国である米国ですが、実は日本よりもその手続きのハードルは高く、その発議に対して上下両院の3分の2以上の賛成が必要であり、さらにアメリカ全州の4分の3以上の州議会が、この発議について賛成を行えば修正がなされます。

ちなみにここで言う米国の憲法改正というのは、連邦憲法のことをいいます。米国は連邦国家ですから、各州において、「法律に対する法律」たる憲法が存在しているわけですね。

次に日本が、その法制度のお手本にしてきたドイツではどうでしょう。米国の影に隠れて、その印象が薄いかも知れませんが、ドイツも米国と同様、連邦制を採用しているのですが、憲法(ドイツ連邦共和国基本法)改正の発議に対して連邦議会・連邦参議院両方で3分の2以上の賛成が必要で、これだけで改正が出来てしまいます。

ちなみに、連邦参議院というのは、各州の代表者によって構成される議会ですので、言わばここで全州の投票がなされていることになります。

ドイツのお隣、フランスはどうかと言いますと、発議は国民議会と元老院両院でそれぞれ過半数の賛成が必要で、国民投票において有効投票数の5分の3以上が必要になります。

イギリスにおける憲法改正

各国の憲法改正状況を見ていく場合に、まずみなければならないのがイギリス(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)の憲法であると思われます。

なぜならイギリスにおける「憲法」を見ることは、「憲法とはどういうものなのか」を考えるにあたって、非常に示唆が多いからです。そう、イギリスには、明示的な憲法典は存在しません。

ゆえに、不文憲法などと呼ばれますが、「憲法」を自称する法典がない以上、「不文憲法がある」という言い方は、言い方として良いのか悪いのか、微妙なところです。要するに、英国では、日本における「法律」と「判例」およびそれに準じる議会決議等において、法律体系全般およびその法体系の根拠となる国家体系に自己言及するような性質のもの(基本的人権や、立法手順、国王の権能等)の総体を指すときに「英国の憲法 = Constitution of the United Kingdom」という語が使われる、というわけですね。

このような「憲法」の用語系は、まさに、憲法というものが、その自称ならざる「法律を規定する法律」という、その「機能」「役割」で同定されているという点で、憲法の本義を貫いているとすら言えます。そうであるがゆえに、イギリスにおける「憲法改正」というのは、原則として通常の日本で言うところの「法律の改正」と何ら変わらない手続きを踏むことになります。つまり国民投票というプロセスを原則として介さず、議会においてその法改正がなされるということです。

憲法もまた議会制民主主義を媒介として実現される国民の意思である、という点を踏まえるならば、これはある意味、極めて自然な手続きであると考えることもできます。

アメリカにおける憲法改正

戦前の日本の最たるお手本はドイツでしたが、戦後のお手本として崇め立て奉られているのがアメリカ合衆国です。

実はアメリカの憲法というのは、「法律を規定する法」+「法治」+「民主(ただし白人のみだったが)」という意味での「憲法」としては、世界最古の「明文法=成文憲法」とされています(制定は1788年。アメリカのイギリスからの独立承認は1783年)。

このアメリカ合衆国の憲法改正を議論する場合に、キーワードとなるのが「修正条項 = The Amendments 」という発想です。

アメリカ合衆国における憲法というのは、憲法の分類で言うところの硬性憲法と呼ばれるものにあたり、憲法改正が承認された場合に、もともとあった条文が削除され、新たな条文がそこに置き換えられるのではなく、もともとの条文は削除されずにそのまま書き残され、「憲法修正条項」として、憲法典の中に追加的に書き込まれるというスタイルをとっています。

アメリカでは、2013年の時点で、歴史上、計6回の憲法改正を行っており、その憲法改正は、まさに今述べた修正条項を付記する形で行われているわけです。

その修正の歴史は、1788年、つまりオリジナル憲法が制定された直後からスタートしています。この1788年の修正条項(第1条から10条まで)は、「権利章典」として、特別な位置付けをも持っています。最近の修正条項としては、1992年の修正第27条が挙げられ、これは、合衆国議会の議員報酬についての変更が規定されました。

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ドイツにおける憲法改正

ドイツにおける「憲法」=ドイツ連邦共和国基本法(Grundgesetz für die Bundesrepublik Deutschland)は、日本の現行憲法が戦後1946年に交付され、1947年に施行されたように(この施行までは一応、大日本帝国憲法が存続していたことになります)、第二次大戦後しばらくたった1949年に、西ドイツで制定されました。

そう、日本もドイツも第二次大戦の敗戦国であったために、アメリカ、フランス、イギリスといった連合国側(戦勝国側)の要請によって、その「修正」が余儀なくされたわけですね。

ちなみに、旧東ドイツ(旧ドイツ民主共和国)のほうでも、西ドイツと同年、1949年にドイツ民主共和国憲法(Verfassung der Deutschen Demokratischen Republik)という憲法が制定されています。ただ、東西ドイツ統合後には、この東独側の憲法が廃止され、西ドイツ側の憲法がそのまま統一後のドイツにおける憲法として存置されることになりました。

現行のドイツ憲法の正式名称が「憲法 Verfassung」ではなく「基本法 Grundgesetz」であるのは、東ドイツが「憲法」を名乗っていたのに対し、西ドイツ側は、この法について憲法と名乗る以前の暫定法である、という意図が強かったためであり、現在もその名称が修正されることなく残っているためです。

さて、国際的にみて、このドイツにおける憲法は、 2013年の時点で計59回(同日に複数の条項を修正している場合があり、57回や58回とカウントされる場合もあります)という、多数回にわたって改正されていることで有名です。

ただし、この背景には、ドイツの基本法の中には日本における法律に該当する規定も多いがゆえだ、という議論もあります。

フランスにおける憲法改正

フランスの現行の憲法は、「第五共和国憲法」という、日本人にとってはややなじみのない呼ばれ方で呼ばれることがあります。

「第五共和制」というのは、1789年の、かの有名なフランス革命後、フランスという国は、革命、帝政回帰、分断、戦争を経て、その度に、新しく共和制国家として国家大再編がなされたことから、その順々に数えて、現在が第五共和制、ということになっているわけです。

第四共和制から、第五共和制に抗するきっかけは、 1950年から1962年にかけて行われたアルジェリア戦争(フランスに対するアルジェリアによる独立戦争)であり、第五共和国憲法は1958年に制定されました。この第四共和制から第五共和制へのシフトにおける、最も大きな変化は、大統領権限の強大化がその筆頭に上げられています。その典型的な例として、フランス大統領に対し国民議会は弾劾裁判権を持たないことが挙げられます。

このフランス第五共和国憲法では、第四共和国憲法及び、1789年のフランス人権宣言を「参照する」というかたちで、基本的人権についての規定に代えています。フランスにおけるこの憲法は、現在に至るまでに24回の改正を経ています。

1789年から数えて24回ではありません。1958年の第五共和国憲法の制定から数えて24回です。そのうち、近年のものとして、2008年にかなり規模の大きな改正が行われており、なんと50以上もの条文が修正されました。その主たる趣旨は、強化された大統領権限を、再び国会に委譲する、という部分にあります。

スペインにおける憲法改正

憲法の議論をするときに、スペインという国の名前をあまり出てきませんけれども、アメリカやフランス、ドイツ、そしてイギリスといった日本から見える「欧米」の実質的四天王ばかりを見ていてもしかたありませんので、ここでは気分を変えてスペインに目をやってみましょう。

スペインの現行憲法は、意外なことかも知れませんが1978年に制定されています。けっこう最近に制定されているのです。とは言え、もちろんそれ以前のスペインに憲法がなかったわけではありません。

スペインでは、その最初の憲法が1812年に制定されています。それ以降スペインにおいて、現在の憲法も含めて、歴代で7つの憲法が制定されていることになります。

日本ではスペインと言うと、フランスやドイツなどと同じく「ヨーロッパ」の一国に過ぎず、ヨーロッパであるということ、すなわち、近代民主主義を親としている国であると思ってしまいますけども、スペインに関しては、1975年までフランシスコ・フランコ・バーモンデ率いる軍事政権によって、独裁政権が維持され続けていました。このフランシスコが死亡して以降に、その後代をフランシスコの遺言によって任命された国王が、独裁政権を放棄したことで、戦後はじめてスペインは民主的な立憲君主制へと移行したのです。

この1978年憲法の前文において、スペイン国民の基本的な人権についての規定が設けられており、また法治主義を採択する旨の宣言もなされています。

イタリアにおける憲法改正

現行のイタリアの憲法は、1947年に公布され、1948年に施行されています。

日本そしてドイツと同じく敗戦国であったイタリアは、まさに日本と(西)ドイツが現行憲法を制定するのと同じタイミングで(そしてそれは、連合国側の圧力によって)新憲法を制定した、という次第です。アメリカやドイツ、フランス、スイスなどと比べれば、イタリアにおける憲法の状況は、日本に似ていると言えるかもしれません。

イタリアにおいて憲法の改正がなされていないわけではありませんが、それでも大規模な憲法改正については、議論をなされているものの実行に移されたことはない、という側面があるからです。

イタリアは戦時中ムッソリーニ政権によってファシズム体制をとっていたことへの強い反動から、憲法の規定において、思想の自由、政党の自由などは認めているものの、唯一ファシスト党の再結成だけは、これを禁じています。

しかも、現行の日本では考えにくいことですが、旧・イタリア王国(1861-1948年まで)の王家であったサヴォイア家を、なんと2002年まで「憲法によって」国外追放にしてしまったのです。これは日本で天皇家を国外に追いやるようなものだとも考えられ(もちろん文脈は異なるでしょうが)、実はこの背景には、マルクス主義思想に準ずるイタリア社会党が、この憲法制定に大きな力を持っていたためだ、とも言われています(ちなみにイタリアではネオマルクス主義と呼ばれるポジションの思想家が多くおり、日本にもよく紹介されています)。

スイスおける憲法改正

永世中立国として、日本においてもどちらかと言えば好感的に知られているのがスイス連邦です。

現行憲法は、つい最近の1999年にその全面改正が承認され、2000年に施行されています。バージョンアップ版は、きわめて最近できあがったものなのですね。

とはいえ、スイスの憲法においてバージョンアップは全く珍しいことではありません。スイス憲法のオリジナルバージョンは、フランス人権宣言の影響を受けて、1848年に制定されています。これがその26年後の1874年に全面的な改正がなされ、そして2000年に3回目の全面改正が行われたのですが、この全面改正と全面改正との間に、部分的な改正は140回以上もなされています。

また、 2000年以降の新憲法においても既に改正が幾度も行われています。しかし、これも考えてみるならば、極めて自然なことであると言えるでしょう。要するにスイスという国は、人口が800万人程度の小さな国なのです。憲法改正に求められるもともとのコストが、日本などに比べてはるかに少ないということができるわけです。

スイスにおける憲法改正の要件は、10万人以上の要求があれば、連邦議会はその要求に沿ったかたちで(要求をそのままは受け入れない)部分的に修正を加えた草稿を形作り、それを国民投票と州(カントンと呼ばれます)投票にかける、という流れになります。国民投票においても、カントンにおいても、投票者の過半数による賛成で、可決となります。

ロシアおける憲法改正

ロシアにおける現行の憲法は、皆さんのイメージ通り、冷戦崩壊後に制定されており、それは1993年のことになります。

それ以前、ロシアにおける最初の憲法はロシア共和国憲法として、1918年に制定されています。それ以降、よく知られた社会主義体制(ソビエト連邦)に移行する中で、この旧憲法は大きく3度ほど全面改正され、そして4度目の全面改正で、現行憲法が誕生した、というわけです。

ゆえに、ロシアにおいても、社会主義体制下・冷戦構造下など異質な状況ではありながら、憲法改正という経験においては、日本に先んじているわけですね。

1993年以降の現行憲法下においても、2008年にその改正が行われており、大統領の任期が従来の4年から、6年にまで延長されました。

ロシアにおける憲法改正の手続きは、憲法の章により、その改正手続きが分かれています。まず、第1, 2, 9章に関しては、上院と下院でそれぞれ5分の3以上の賛成を得ることで、憲法制定を招集することが出来るようになり、なおかつ憲法制定会議の議員定数の3分の2以上の賛成か、もしくは国民投票において、まず選挙人(要するに国民)の過半数の参加を必須条件とし、その投票結果の過半数が賛成であったときに、その草案が採択されることになります。次いで、連邦体制自体について定める第3章から8章の改正に関しては、ロシア連邦を構成する各主体の3分の2以上の立法機関の同意が必要となります。

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