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憲法改正についての自民党の意図は何でしょうか?

憲法改正

ある政党の「思惑」を考える場合、テレビのワイドショー的想像力ですと、どうしても、政党内部の個々人のキャラクターに目が行ってしまい、せいぜい、その各々のキャラクターがどのような思惑を持っているのか、という部分に想像が行ってしまいがちです。

しかし、社会や組織というものは複雑です。社会科学・組織科学の分野の基本テーゼは「社会・組織のダイナミズムは、個々人の総和を超える」です。

個々人を見ていても測り切れない部分があります。なおかつ、仮に個々人に着目するにしても、その政党の「内部」にだけ注目しても、何も見えてきません。

自民党のように長期間権力の座に就いてきた組織を見る場合には、必ずその背後にアメリカと、そのアメリカに圧力を掛けている欧州の影を読み取る癖を身につけよう、というのは良く言われることですね。

しかるに自民党による憲法改正案(草案)を眺めるにあたっては、自民党の個々の政治家の顔(例えば安倍晋三氏)を思い浮かべながら読む「のではなく」、その背後にある国外の権力関係や、個々人の総和を超えているダイナミズムを読み取る必要があります。

例えば、これは受け売りに過ぎませんが、憲法学者・古関彰一氏は、自民党の憲法草案の9条改正部分について、もし自民党が自衛隊を通常の軍隊として取り扱いたいならば、軍隊を持つ国々が必ず憲法において明記している宣戦布告規定がない、という部分に着目し、その意図について分析しています。

深読み過ぎるくらいが、丁度良いでしょう。

自民党の憲法改正草案への総論的傾向

2012年の4月27日に発表された、自民党の憲法改正草案を、総覧的に眺めてみますと、ひとつの統一的な傾向が見られることに気づきます。

それは、憲法も含めた国家による意思決定を国民は尊重すべきである、という態度です。

もちろん原理原則論から言うなれば、憲法であれ法律であれ、国会で制定される法律も、その法律の範囲に基づいて実行される裁判所の判決や、内閣及び公務員が実施する行政も、国民自身が議院内閣制と言うシステムを介したアウトプットのひとつなのですから、それを尊重し、遵守する必要があろう、というのは、理路としては理解できます。

自分たちのことは自分たちで決めるという理念に照らすならば、国会議員や公務員、閣僚、裁判官に、国家的意思決定についてのあらゆる責任を押し付けるという態度は、必ずしも誉められたものではないでしょう。彼らはあくまでも我々の意見を、ある固有の仕方で集約するため、我々が税金を用いて雇っているスタッフであるに過ぎません。

しかし憲法というものは、それに準ずる法律も含めて、解釈の自由度に開かれています。そして何よりも問題なのは、その解釈の仕方が、いま述べたような原理原則論的な範囲からなされるとは限らない、という点です。私たちは、憲法や法律の条文を、論理内在的な観点からだけ眺めるわけにはいかず、その条文が、どのような「解釈の余地を残しているのか」に目を光らせる必要があります。

その意味で言うと、自民党の憲法改正草案には、冒頭で述べたような、一種の「クセ=国家を尊重せよ」があり、ここに解釈の自由度がどの程度宿るのか、をきちんと測定する必要があります。

自民党の憲法改正草案について

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