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主要政党の憲法改正へのスタンスを見よう

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自民党の憲法改正へのスタンス

自民党(自由民主党)の憲法改正に対するスタンスはどのようなものなのでしょうか。自民党2012年の4月に憲法改正草案を発表したことで有名ですが、それ以前の2005年の11月に12日に、「新憲法草案」を発表しています。

この新憲法草案は、政権政党が、現行憲法制定以降、具体的な条文において憲法改正案を示した。初めての例となっています。この2005年の新憲法草案の頃から、 2012年の憲法草案に至るまで、自民党の基本的な趣旨というものは変わっていません。

その趣旨というのは、一言で言うならば、国家による意志決定の効力が、個人の自己決定に優位する場面が、今よりも頻繁に起こりうるのだ、という点を強調するような内容である、という点です。後の社会では、個人の自己決定のみでは成立しれませんから、自民党が強調すべきポイントは、その文言としては理解できるものなのですが、自民党憲法草案の「癖」というべきか「味」というべきか、ひとつの大きな特徴は、そのような国家的意志決定の効力の優位性を、草案条文の随所で強調している、という点です。

また、最も話題に上がちなのが、憲法第9条の2項「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない」の部分が、削除されている点です。現行憲法の9条2項は、とりわけ集団的自衛権に対する自制として、長年機能してきましたが、自民党草案においては、この部分を削除する事によって、とりわけ米軍との関係における集団的自衛権の行使に話が至るのではないか、という点が懸念されています。

民主党の憲法改正へのスタンス

民主党は、自民党のように憲法改正草案を提出している訳では有りませんが、 2005年に「憲法提言」なるもの発表しています。自民党によって、与党の座を奪取されてしまう2012年以降においても、憲法について何か具体的な修正案のようなものを提示した事はありません。民主党のマニフェストにおいては「憲法を活かし、国民主権・基本的人権の尊重・平和主義を徹底する」という旨が記載されていますから、基本的には、憲法を改正する立場にはないと考えて良いでしょう。

「国民主権・基本的人権の尊重・平和主義」を「徹底する」ということの意味は、現行の憲法解釈について、これらの条件を満たさない様な解釈に関して、それを認めないよう「徹底する」という意味になります。つまり民主党が力を入れる対象は、憲法の改正ではなく、憲法の「解釈論争」にある、ということに、今のところはなるだろうと考えられます。

例えば、民主党の、その憲法解釈のプランとして挙げられているのが、国連憲章第51条に記載されている「自衛権」の、実質的な定義、すなわち、国連の集団的安全保障が発動されるまでのあいだの「局限的なものである」という発想と、現在の憲法9条の解釈とを、合一させよう、というものがあります。これはつまり、自衛権の名のもとに、武力行使に及んでしまうような間違いを回避しよう、という意思を表明する者でもあるわけですね。

日本維新の会の憲法改正へのスタンス

ここでは日本維新の会の、憲法改正に対するスタンスを見ていきましょう。日本維新の会は、大阪維新の会を母体として2012年に結成された新興政党ではありますが、その代表である橋下徹氏の知名度、求心力、政策実行力等によって、2012年の衆議院議員選挙においては、民主党に次ぐ第三位の議席数を誇る政党にまで躍進しました。

ただ、この日本維新の会では、憲法に関して「統治機構改革」を主軸として、その改正を行う方針を、そのマニフェストにおいて明示しています。具体的には、首相公選性の導入と、参議院の廃止、さらには地方自治体の条例の上書き権(憲法第94条の改正)等が挙げられています。イメージが湧きにくいのげ、条例の上書き権であると思われますが、まず現行憲法の94条においては「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制限することができる」と記載されていますが、この文言の中における「法律の範囲内」という部分がネックとなります。

つまり、既存の地方自治体は、「法律の範囲内」に拘束され、既存法体系に「部分的な追加項目」を加えるなどして自治体独自の行政を行う、というようなことが実質的にできないでいるわけですね。維新の会では、最終的には道州制を採用しようという政策モデルであり、地方分権を推し進める立場ですから、それを目指すに当たっては、この憲法第94条の改正は不可避となるわけです。

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公明党の憲法改正へのスタンス

長年自民党との連立政権において、その地位を確保している公明党ですが、すくなくとも2012年から2013年の時点において公明党自身は憲法改正に関して具体的なアイディアを提示しているわけではありません。マニフェストにおいて憲法に関する言及はなく、実質的に自民党との連合体制をとっていることからも、自民党の憲法改正草案に準じるというスタンスと解釈できるでしょう(あるいは人々にそう解釈されても公明党は文句を言えない、といったところでしょうか)。

ただ実際には、公明党が発行する「公明新聞」の2005年付の記事においては、公明党は憲法9条第1項と第2項は堅持するという旨の見解を示しています。その上で、自衛隊の活動の規定のあり方に関しては、現行憲法の条文を修正するのではなく、そこに新しい条文を付け加えると言う「加憲」方式で対応するという見解も示しています。また、自民党や維新の会、みんなの党などと同様に、憲法制定以降60年以上が経過しているにも関わらず、憲法の条文は一切変更を加えられていないという状態に関しては、やはり問題がある、というスタンスをとっており、現行憲法は優れている、と言う原則的な思想を維持しながらも、現代社会に即するような形での「加憲」を実施していくと言う立場を採用しているというわけです。

ちなみに集団的自衛権の行使に関しては、公明党はどちらかといえば否定的なスタンスをとっており、自民党が集団的自衛権に関して推進的な立場にあることから、この面での対立はある、と公明党側も言明しています。

社民党の憲法改正へのスタンス

社民党(社会民主党)は、日本共産党と同様に、憲法9条を含んだ憲法改正全般に関して、よく反対をしている政党のひとつです。社民党は1945年から存在している日本社会党を前身とする、極めて歴史の長い政党ではあります。旧・日本社会党時代には、1993年に非自民・非共産連立政権として、一時的に与党側につくこともありましたが、現在では、その政党としての力はやや減退しており、 2012年の衆議院議員選挙においては、獲得議席数がわずか2議席(90年代は15議席ほど、00年代も5議席以上は獲得していた)という結果に終わりました。

さて、護憲の立場と言っても、そのスタンスは様々です。例えば、生活の党(旧・日本未来の党)では、憲法9条の条文をそのまま護持しながらも、その解釈において集団的自衛権を容認するという立場をとっています。それに対して、社民党は、集団的自衛権の行使に関しては断固反対の立場を採用しています。また、そのマニフェストにおいては、現行憲法の理念の実現を目指し、平和基本法の制定を訴えています。この辺は基本法においては、自衛隊の装備に関して、その最低限水準への改編と縮小を明記する、という方針となっています。

つまり、復興支援党に用いられる自衛隊の機動力や、万一侵攻を受けた場合の、最低限の軍備をのぞいて、一切の追加的な軍備拡張も認めない、という立場を採用しているわけですね。これは社民党の往年のスタンスであると言えます。

共産党の憲法改正へのスタンス

社民党と同様に、憲法改正に関して、その反対の旨を明確に主張しているのが日本共産党です。日本共産党の、 2012年の衆議院議員選挙における獲得議席数は8議席であり、みんなの党に次ぎ、生活の党を上回る議席数となっています。日本共産党というのは、 1922年に設立されて、現在に至るまで、その党名も変わることなく存続している、非常に歴史のある政党です。

その政党名からも理解できるように、まずそのオリジンは共産主義思想に由来するものであり、なおかつ2004年海底の日本共産党綱領においても「民主主義革命」の後に「社会主義的変革」が必要である、と明記するなど、その思想が、姿を変えつつも継承されています。共産主義思想が現代社会にそぐわないと考えている人がおそらく多数でありながらも、共産党が一定の議席数を獲得しているのは、長年、自民党政権が失策を行ってしまったときの「罰」として、有権者が共産党に「あえて」投票する、という国内の投票慣行に起因する、という味方もあります。

さて、この日本共産党では、自民党の憲法改正草案に対して全面的に否定をしており、集団的自衛権の行使に関しても、社民党と同様に反対の立場をとっています。共産党のユニークなところは、憲法ですらも、「民主主義革命」と「社会主義的革命」による「二段階革命」の中で、その言及がなされている点ですが、社会主義的革命において、現行憲法がどのような扱いになるのか、について共産党は明確な意思表示は行っていません。

生活の党の憲法改正へのスタンス

生活の党は、 2012年に発足した新興政党で2012年の衆議院議員選挙において獲得された議席数は7議席であり、共産党に次いで、7番目の数字となっています。小沢一郎氏が代表を務める党として有名であり、日本未来の党が、2012年12月にその名称を現在のものに変更した党です。この生活の党は、少なくとも日本未来の党自体のマニフェストにおいては、憲法に関する具体的な言及は見られませんでした。

では実質的なスタンスはどのようなものかというと、まず憲法改正論議において受信出来が焦点となる憲法9条の解釈、とりわけ集団的自衛権の解釈に関しては、憲法9条の条文自体は維持しながらも、憲法解釈の変更によって、集団的自衛権を容認するという方針をとっています。

一方で、安全保障基本法を制定する、というプランを掲げつつも、その安全保障基本法は、国連憲章と日本国憲法前文(国民主権・基本的人権の尊重・平和主義)の精神に則る旨を記載しています。民主党が主張するように、国連憲章にのっとった集団的自衛権というもの解釈する場合には、国際連合の加盟国に対する武力行使が生じた場合に、集団安全保障活動が実施されるまでの「あいだ」に、その権利行使が阻害されないものが「個別的」「集団的」両自衛権である、という発想があるがために、集団的自衛権の及ぶ範囲というのは実質的に、時限的なものである、と捉えることができます。

生活の党が、今後、この点の解釈についてどの程度踏み込んだ議論を展開するのかが、注目されることになります。

みんなの党の憲法改正へのスタンス

みんなの党は、自民党と並び、憲法改正のアイデアを発表している政党です。みんなの頭も、日本維新の会と同じくその発足は比較的新しい(2009年結成)政党ですが、 2012年の衆議院選挙においては、公明党,に次ぐ議席数で、衆議院の中では第5位の数を誇っています(といっても18議席ですが)。

このみんなの党は、元自民党議員であった渡辺喜美氏を中心として発足したものです。さて、このみんなの党の憲法改正のアイデアにおいては、自民党の草案のように、たたき台として、すべての条文について、修正文章を記載しているわけではありません。例えば、憲法9条に関しては、自衛権のあり方を明確化するとともに、 2年間の国民的議論の上で、国民投票実施する、というアイデアを提示しており、「国民的議論」にその行方を委ねるというスタンスをとっている、とも言えます。

また、統治機構改革としての憲法改正という点については、日本維新の会とそのアイデアを共有するところが多く、地域主導型の道州制を導入するという点や、衆参両議員を統合して、定数200人の一院制を導入する、という点は維新の会とほとんど共通していると言えるでしょう。また、これも維新の会と同じく、日本型首相公選制を導入するというアイデアも提示していますが、この首相公選制に関して、みんなの党は、短期的には、憲法改正を必要とするものではない、という見解を示しています。

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