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スイスの永世中立とは?その理想と現実

スイス

日本の平和憲法を論ずる際によく引き合いに出されるのが、スイスのスタンスです。

憲法改正論議において、スイスという国は、護憲派からも改憲派からも、引き合いに出されます。

護憲派がスイスを引っ張ってくるのは「永世中立」という気高い位置を、他国の圧力に「屈することなく」保持し続けているという事実があるためです。つまり経路は異なるものであるにせよ、日本もスイスを見習って、国外の圧力に屈することなく「平和主義」を護持しようではないか、というわけですね。

一方で改憲派がスイスを持ち出すのは、スイスの「永世中立」というスタンスは、我々日本人は想像を絶するほどの国民の高い防衛意識と、軍備面における重武装によって支えられているのだ、という点を強調せんがためです。

事実、スイスでは、徴兵制が採用されており、また国連平和維持活動への参加も、積極的に行っている、という特徴があります。

そしてよく知られているように、スイスは国全体がひとつの要塞として設計されており、有事の際には、焦土作戦を決行するという意思すら持っています。

現在、非武装中立として有名な国は南米のコスタリカですが、かつてはルクセンブルクが非武装中立国家でした。ところがルクセンブルクは、第一次世界大戦において当時のドイツ帝国に全領土が占領されるという痛手を負いました。そのとき同時に侵攻を受けていたベルギーも永世中立国家でしたが、こちらは武装国家であったために抵抗が可能であった、という複雑な現実があります。

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スイスの重武装・中立という立場は、このような歴史からの教訓という点にも立脚しているのです。

スイスの理想と現実

フランス、ドイツ、イタリア、オーストリアといった国家に囲まれながら、 1815年におけるウィーン会議での承認以降、現在に至るまで永世中立国家として存在してきたスイス。このスイスは、憲法改正論議において、護憲派が憲法9条等を護持しようとする際の、ひとつの「気高い意思」の参照先の1つとして挙げられることがあります。

しかしいっぽうで、スイスが私たち日本人に教えてくれることは、永世中立という立場を維持することの、そのコストの高さです。

まずスイスにおいては、「拒否的抑止」という発想によって、他国がスイスに侵攻した場合のコスト・ベネフィットにおいて、コストが上回るように、防衛設備が整備されているという背景があります。また徴兵制度が採用されていますから、 20歳から30歳までの男子は兵役の義務をこなさなければなりません。

そして、スイス男性の家庭には、軍隊の予備役として、自動小銃が配布されてもいます。

もちろん、銃の配布がそのまま米国のような銃乱射事件の頻発をもたらす、ということはありませんが(マイケル・ムーア監督の『ボーリング・フォー・コロンバイン』という映画がそのことを示唆しています)、まさに米国がそうであるように、永世中立という意思の貫徹するためには「我々は何者によっても支配されない」=「我々を支配するのは我々である」という、強靱な「自治」の思想を堅持することが要請されます。

米国における市民のライフル所持は、米国の「憲法」における修正第2条を論拠に、そのことが肯定されています。これは(その賛否はどうあれ)「自治」の発想に根ざしているわけです。

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