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コスタリカの平和憲法とその理想と現実

コスタリカ

平和憲法と言えば、世界の中で唯一日本だけは持っている憲法だと思われがちですが、実は日本ともう一国「非武装」を憲法に明記している国があります。それがコスタリカです。

コスタリカは、太平洋とカリブ海に面する南米の国家です。コスタリカの憲法においては「常設的期間としての軍隊はこれを禁止する」という条文が明記されており、実際、コスタリカにおいて、軍隊を名乗る組織はありません(ただし「警備隊」という組織が、軍隊に類しているのではないか、という指摘もありますが)。

コスタリカにおけるこの平和憲法は、その制定にあたってのエピソードは非常に象徴的です。この憲法が制限されたのは1949年の11月7日なのですが、この前年に、政権をめぐる内紛を経験していました。既存政権が、優位に立とうとしていた新勢力を、強制的に排除したことを発端に新勢力側が武装蜂起し、既存政権側が国外亡命を余儀なくされる、という事態が起こっていたのです。

ところが、この武装蜂起した新勢力は、驚くべきことに、その武装した軍備を放棄してしまったのです。そして、既存の軍隊をも解散させてしまいました。これは通常の軍事クーデターならばありそうもないことです。

それだけではありません。この同じ年の末に、亡命していた旧勢力が、亡命先政府の力を得て、コスタリカに復讐的な侵攻をしてきたのですが、このときコスタリカは再軍備をしなかったのです。そうではなく、米州における地域集団安全保障条約に準じて、米州機構に提訴するという手続きで、この侵攻を妨げたのでした。

コスタリカの理想と現実

日本と双璧をなす平和憲法の国であるコスタリカですが軍備の「非」増強度で言えば、双璧どころではなく、コスタリカのほうがよほど平和主義に忠実であるとも言えるかも知れません。

ただいっぽうで、日本がそうであるように、表面上で平和主義を掲げていても、そう簡単に理想は実現できません。コスタリカは北部に隣接しているニカラグアによって、たびたび、軍事侵攻や紛争に巻き込まれかけたことがありますが、その度に、再軍備を拒否し続けてきました。特に米国による軍事基地提供の要請を拒否し続けてきている部分など、日本が見習うべき点も多くあるかと思います。

しかしそのいっぽうで、コスタリカという国は、リオ条約と呼ばれる、米州全体にわたる地域集団安全保障条約に批准をしている国でもあります。これは何を意味するかと言えば、コスタリカは、何らかの軍事侵攻や紛争に巻き込まれそうになった時に、米国を中心とした軍事力に頼ることが出来る、という側面があります。

もちろん、だからと言って、コスタリカの平和憲法が有名無実化してるというわけではありませんが、コスタリカに軍事的な圧力をかけようとしている組織が、リオ条約に基づく集団安全保障の「何」を恐れて、その軍事的圧力の手を引っ込ませるのかと言えば、やはり筆頭にあげうるのは、どうしても米国の軍事力、ということになってしまうのです。

しかし、米国の突出した力がなくても、集団安全保障は実現できるかも知れません。ある意味、米軍の力を借りている「ように見えてしまう」側面があるコスタリカの悲劇と言える部分でもあります。

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